第13話
紗理奈は、今日の事を大事に思っているに違いない、だから朝からメールをしてきたんだと思う。
そんな結婚記念日に対して、僕は何も用意をしていないどころか、すっかり忘れていた。
旦那として、最低だ。
それどころか、この後の打合せに少しドキドキしてしまった僕がいる。
やはり、最低な男だ。
よし、早く仕事を終わらせて、何か買って帰ろう・・・
僕は、打合せに必要な書類等を鞄に詰め込み、準備をしていた。
トントン・・・
肩を叩かれ振り返ると、そこには営業部長が立っていた。
『今日の打合せは、私も同席するから、準備を怠るなよ』
部長も夕方の打合せに参加するらしい・・・
『有り難うございます、勉強させて頂きます』
僕は部長に頭を下げた。
・・・どうしよう、帰りが遅くなりそうだ。
夕方の準備をしていると、携帯電話が鳴った。
紗理奈からのラインだ。
『今夜、何時に帰ってくる?』
今朝と同じ内容だ。
『21時には帰るって言ったでしょ!』
ブブ・・・
『わかった、仕事中にごめんね』
少し僕がイライラしているのが分かったらしい。
時計の針は、12時を指している、そろそろ品川プリンスに向かわなければ・・・
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