第9話
あ、ん、眩しい・・・
カーテンの隙間から差し込む太陽の光が、僕の顔を照らしている。
リビングのソファーで寝てしまった僕を、そっと太陽が起こしてくれた。
カーテンを開けると、昨夜の天気が、まるで嘘のような快晴だった。
キッチンの方から、紗理奈が声を掛けてきた。
『酔っ払い!起きたの?』
『朝ごはん出来たから、顔洗ってシャワー浴びてきなさいよ』
『ああ、ごめん、起きたよ』
僕は、不愛想に返事をして、浴室に入った。
大分酔っていたが、シャワーを浴びていると、お酒が抜けていく感じがした。
その時ふと気が付いたんだ。
僕は、浴室に入る前Tシャツと下着姿だった、つまり昨夜着ていたはずのYシャツやズボンを穿いていなっかたのだ。
僕は慌てて浴室を出た。
脱衣場で新しい下着に着替え、そっとリビングに戻ると、昨夜着ていたスーツは見当たらなった。
何も疾しい事は無いと思いながらも気になってしまう。
寝室に今日のスーツ取りに行くと、昨夜のスーツがクローゼットにかけてあった。
寝室のテーブルには、スーツの中身が綺麗に並べられている。
その中には、ハンカチも含まれていた・・・。
何度も言うが、疾しい事は何もない。
僕は、新しいスーツに着替え、机の上の小物を鞄に詰め、そっと寝室を後にした。
その瞬間、天使のように眠ているはずの愛娘が、こっちを見ているような感じがしたんだ。
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